2008年03月14日
1.知恵【本当に大切な50のこと】

大学を卒業した後、将来何をするかで悩んだ2年間、
私はコロラドのボールダーという町でバーテンダーをしていた。
コロラドの冬は長い。
そんな中、レストランの外で演奏していた年老いたサックス奏者と友達になった。
ユージーン・“ラッキー”・ハドソン
彼は安酒場で演奏しながら、スーツケース一つでアメリカ中を旅する、
放浪の75年間の人生を歩んできたという。
ラッキーは午後になると、
バーカウンターを拭きながら話す私の愚痴を聞いてくれた。
同僚への不満、休日出勤の嘆き、友人とのいさかいで受けた心の傷・・・
その日の愚痴がどんなに馬鹿げていても、面白みがなくても、
ラッキーは体全体で聞いてくれた。
うなずき、相槌をつき、目を閉じ、舌打ちをしたり、腹を弾ませて笑ったりしながら。
私の愚痴が一段落すると、彼は手の甲でビールのついた髭を拭い
大きな茶色の目で私を見つめてこう言った。
「ある人の話をしてあげよう・・・」
そして話し始めるのであった。
アラバマの農場で働く話や
サンフランシスコのジャズクラブで遊びまわる話。
私の悩みと一体何の関係があるのか、分からなかった。
その時の私は
彼の話の全体ではなく「特定の一部分」しか見ていなかったから。
あれから少しばかり成長した今ならわかる。
彼の言葉の裏には、いつだって現実的で明白なメッセージが示してあったのだ。
思い出すのは、1939年の大干ばつや尾びれの付いたキャデラックの輝きの話ではない。
彼の低くなめらかな声がこう私に語りかける。
「あんたの母さんは愛されたいだけなんだ。
考えるな。
ただそうしてやるがいい」
「許す瞬間、人は神になれる。
例え許すことがいつも良いことではないにしても」
まるで農家が種をまくように、
彼がなんの気なしに私に投げかけたレッスン。
完璧で無慈悲なまでの明白さを持って、今私の心に迫ってくる。
その種が根をはり
あの頃と同じくらいはっきりとした声で
私は 今、 彼の「知恵」を聞いている。
Posted by SOL at 23:56│Comments(2)
│本当に大切な50のこと
この記事へのコメント
いいね、これ!!
本買おうかな。
本買おうかな。
Posted by hira
at 2008年03月16日 10:28

ありがとうございます!
本いいですよ~
良かったらお貸しします^^
本いいですよ~
良かったらお貸しします^^
Posted by ゆみこ at 2008年03月17日 00:34